QEDの山歩き

山歩きの記録・メモ・雑感

西丹沢・中川川水系・モロクボ沢~水晶沢左俣

沢には一度行っただけ、というDさんを誘って沢へ行くことにした。同行者はもう一人、古くからの友人のKちゃん。Kちゃんの希望で水晶沢になり、右俣へは行ったことのある私の希望で左俣と決まった。

モロクボの大滝はいつ見ても立派である。 f:id:Mt-QED:20170728092959j:plain 天気も良く、しぶきを浴びるのが気持ち良い。病み上がりの私はやらなかったが、同行の2名は滝壺に飛び込んで楽しそうである。水温は思ったよりも低いようで、全身水に浸かるとさすがに少し寒いようだ。
いつもの通り、右岸のゴツゴツした岩場を登って巻く。Dさんは沢は2度目だが、日常的にクライミングジムに通っているのでこの程度の登りは全く問題無い。

 

 

 

 

石積みの堰堤までの間に現れるいくつかの釜でも2人は泳いで滝に取り付いていた。元気だなぁ。 f:id:Mt-QED:20170728092958j:plain f:id:Mt-QED:20170728092957j:plain

Dさんは石積堰堤を直登、楽々と登ってしまった。

 石積堰堤を過ぎるとしばらく河原歩きとなり、やがて水晶沢との出合に到着。本谷は左に折れるように分岐しているので、ボーっと歩いていると水晶沢へ入ってしまうかもしれない。出合で休憩中、3人パーティが追いついてきて本谷へ向かって行った。

 

f:id:Mt-QED:20170728092954j:plain水晶沢へ入るとすぐに左手からキメ岸沢が流れ込んで来る。せっかくだから、ということで大滝の手前まで往復することにした。前回来たときははっきりとした水流が見られたが、今日はやはり水量が少ないようだ。

 

【写真】キメ岸沢の大滝

 

 

 

 

 

 

 f:id:Mt-QED:20170728092953j:plain ナメ滝をいくつか越えて行くと3メートルほどの滝が現れる。一見たいしたことは無さそうだが登れないので左から巻いて越える。難しくはないが、初心者同行の場合はロープを出したほうが良いと思う。

 

 

 

水晶沢の二俣は地形図では明瞭な二俣に見えるが、現地に行くと右俣は単なる枝沢にしか見えず、知らないと自然と左俣に入ってしまう。

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前回はこの枝沢状の滝を登って右俣に入ったが、今回はナメの左俣へ進む。容易に登れるナメ滝がいくつも現れ、右俣よりは楽しめるように感じた。

標高1000メートルあたりの二俣を右へ折れ、そのまま沢地形を進む。正面にザレた斜面が見えてきたあたりで右手の尾根に上がった。傾斜はややきついが、適度な間隔で立木があり問題ない。鹿柵に行く手を遮られるかもしれないと思っていたが、鹿柵もヤブこぎもなく、案外容易に縦走路に出た。

 下山は白石峠経由の縦走路を選んだ。途中、沢を横切るところで休憩していたら急に黒い雲が湧き上がってきた。まもなく雷鳴も響き始めたので急ぎ足で下山する。幸い、用木沢出合に着くまで雨には当たらなかった。

 モロクボ沢は怖い所も無く、水遊びをするにはもってこいと言えよう。

 【今回のルート】

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西丹沢・中川川水系・悪沢

 先週行った箱根屋沢のお隣、悪沢へ行ってみた。だいぶ体調も良くなってきたようなので、今回は元気いっぱいのshironekoくんにご同行頂いた。 

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割沢橋から入渓するとすぐにF1が現れる。神奈川ではまとまった雨が降っていないので水量がとても少ないのではないかと思ったが、そうでもなかった。水流の右側から登る。ホールド・スタンスは十分にあるが、箱根屋沢よりはヌメリが強いように感じた。

 

F2は眺めただけで巻いた。巻き道からF3を見下ろせる。日射しが強く、素人写真では明るい部分が白飛びしてろくな写真にならない。

 

【写真下】 F1を登るshironekoくん
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巻道から沢に降りるとすぐにF4。左岸側にあるルンゼ状を登り、立木をビレイ点にして上に抜けようかと思ったが立木の上はザレ斜面で非常に悪い(立木の下も悪い)。

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立木から懸垂でテラスまで降り、テラスから水流の右側を登った。岩はボロボロながらもホールドはたくさんある。水流側に寄ればしっかりしたホールドもあり、脆い岩に気をつけさえすればそれほど難しくはない。
左岸のルンゼ下に残置スリングを見つけて誘われてしまったが、シャワー覚悟で最初からテラスまで上がるのが楽なのではないかと思ったが、実際はどうなのだろうか。

その後はしばらくナメ床と小滝が続く。途中で休憩していたら3人パーティが追いついてきた。他に入渓するパーティがあるとは思わなかった。
休憩場所からほどなくゴルジュが現れ、その奥にのっぺりとした滝がある。登って登れないことも無さそうだが、中間支点も見当たらなかったのでゴルジュの入口まで戻り左岸の巻き道を行った。

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もうF番号は分からなくなったが、2段の滝が現れた。7,8メートルくらいか。下段を右から登り、水をモロにかぶって左にトラバースする。ここから落ち口まではすぐなのだが、ホールドがやや乏しい。ボルダーで鍛えているshironekoくんに先行してもらい、確保してもらって登った。単独では登れなかった。

その後も次々と滝が現れるが、どれも直登できた。ただ、後半に現れた滝はヌメル岩が多くて見た目よりも難しい。

 


標高830mあたりの二俣を右に進んでからは逃げ場所を探しつつ進む。倒木が非常に多くなる。最初は左の尾根に行こうとしていたがあまり良く無さそうなのでもう少し進み、右手に登りやすそうな斜面があったのでそちらへ進む。傾斜はややきついものの困難ではなく、965ピークの少し西側へ詰め上がった。

下降路は先週と同じ尾根を使った。標高570mあたりの二俣は右を選び、悪沢のどのあたりに出るのか?と思いながら進んだのだが、降りた場所は先週と同じ、箱根屋沢出合そばであった。ならば、今日のルートのほうがはるかに歩きやすかったので、右俣を選んだほうが得策である。  

 【今回のルート】

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西丹沢・中川川水系・箱根屋沢

屏風岩山に源を発する沢には全然行ったことがなく、先日、地獄棚沢を見物しただけである。今日は(深い理由は無いが)箱根屋沢へ行ってみることにした。

【箱根屋沢 F1】

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中川温泉を過ぎてすぐのところに悪沢と箱根屋沢の出合がある。どちらも県道からすぐに入渓できる沢であるが、目立たないのでここに行くつもりでなければ気づきにくいかもしれない。

f:id:Mt-QED:20170816164030j:plain 箱根屋沢の出合に掛かる箱根橋から入渓する。水が少ないのか、橋から入渓したあたりには水が無い。 日が当たらず、薄暗い谷を進んで行くとすぐに堰堤が現れる。最初の2つは左岸についた鋼管ハシゴから越える。3つ目の堰堤はほとんど埋まっていて素通りしそうである。 

 

 

f:id:Mt-QED:20170816163623j:plain 遠目に見るF1は登れそうな感じがしないが、近づくと右の写真の通り、傾斜はゆるく、容易に登れそうであることが分かる。

ホールドも適度にあり、フリクションもまあまあで問題無く登れる。 

 

 

 

 

 

 

f:id:Mt-QED:20170816164242j:plain 中段が人工物となっている3段の滝にはなぜかロープがたくさんあったが、特に利用する必要が無いように思えた。実際、そのまま水流を進むと容易に越せる。

 

 

 

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次に現れた2段の滝が(暗くて分かりにくいが)右の写真である。下段は容易に登れる。上段は難しそうに見えるが、下段を登って右側から上部を観察すると、階段状になっており、ヌメリに気をつけて登れば難しくはない。

 

 

 

 

 

 

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この滝は流れの右側の壁を登れるらしいのだが単独で挑戦できるとは思えず右から巻いた。左下の写真は巻き道からこの滝を眺めたところ。

 

 

巻き道から沢に降りて次に現れたのが右下の写真である。落ち口に抜ける所でちょっと手間取ったように思うが、他は問題無い。落ち口付近の倒木を利用できるかと思ったが、それほど有り難くもなかったように思う。 

 

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右の写真の滝では少し苦戦した。写真が白飛びで分かりにくいが、落ち口の左側に黄色(オレンジ?)のスリングが下がっており、そこまで行けばスリングを頼りに落ち口へ抜けられるのだろう、と考えた。スリングまでのルートはいくつかあるようで、流れの左側基部にリングボルトがあり(写真左下)、乾いた岩を直上するルートがあるようだ。ちょっとこのルートは難しそうに見えたので、流れの右側から登り始めた。残置ハーケン(写真右下)があったので使わせて頂き、保険を掛けつつ黄色のスリングまでたどり着いてみたら、落ち口は依然傾斜があってややヌメっており、足だけで立てる場所ではなかった。黄色スリングに補助ロープを連結して、グランドフォールだけはせぬよう用心して難場を抜けた。

 

 

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 人工で登る滝は当然巻いた(写真下、左右)。

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滝の左岸から巻いて行くと、どんどん高度が上がるのでやや不安になる。滝を越えて沢を見下ろせる場所に出たので降り場所を探していると、次の滝が見えた。これもたぶん人工だろうと思い、沢には降りずまとめて巻くことにしたら、さらにどんどん高度が上がる。いくらなんでも登りすぎたかなぁ…と思っていたら、ピンクテープと踏み跡が現れた。本来の巻き道に合流したのかもしれないが、良くは分からない。2つ目の滝も越えたあたりで「このあたりでそろそろ沢に降りようか」と思いながら歩いていたら、トラロープを巻いた立木が現れ(写真左下)、見下ろすと沢床までロープが続いている(写真右下)ので有り難く使わせて頂いた。難しい巻き道だったが、入り口が悪かっただけなのかもしれない。

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f:id:Mt-QED:20170816232802j:plain右の写真の滝は、一見して「無理」と思い、周囲を見ると右岸側(写真左下)から容易に巻けそうに見えたのですぐそちらを登り始めたのだが、これが非常に悪かった。斜面が体重を支えてくれず、ズルズルと体が落ちそうになる。立木もなく、無傷で落ち口まで行ける気がしなかったので一旦おりた。良く観察もせずに「無理」と決めつけた滝を改めて眺めてみると、巻き道を行くよりは難しくないように見え、実際登ってみたらそれほど難しくはなかった。
右下の写真の滝は途中にデコボコがある以外はのっぺりとしており、容易に巻けるのならば巻きたいところだったが良く分からない。この滝に限らないが、落ち葉がやたらと堆積している箇所が多く、巻き道の難易度の判断が非常に難しい。中間部分にあるデコボコのあたりに足を乗せられればあとは問題無いと判断し、この高さなら失敗して大怪我にはなるまいと考えながら登った。ヌメっていたら登れなかったと思う。

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このあとは源頭の様相となり、小滝はたくさん現れるがどれも問題なく登れる。
途中で二俣が現れるが、なるべく966ピーク付近に詰めようと思っていたので右へ行った。

最後の詰めも、まっすぐ突っ込むと苦戦しそうに見えたので、傾斜がさほどきつくなさそうに見えた左の尾根に上がったのだが、正面の小尾根状の部分に取り付くべきだったかもしれない。左側の尾根を少し登ってみたが思ったよりも傾斜はきつく、斜面はグズグズで立木の間隔も広く、傾斜のゆるい植林の中にたどり着くまで苦戦してしまった。このあたりは手を使わずに歩ける程度の傾斜であり、不明瞭ながらも踏み跡もあり、あとはこれをたどればok、と思ったのだが、登るにつれて傾斜がだんだんきつくなり、踏み跡も何度か見失ったりして稜線に出るまでが容易ではなかった。

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稜線に出たあとは屏風岩山のピークを踏んで来るつもりだったのだが、予定よりも時間はかかったしすっかり疲れてしまったので966ピーク下の南東尾根から下山した。分岐点は広々としてテン場のようだが、焚き火跡があったので実際に幕営した人がいたのかもしれない。
標高850m付近で尾根が分岐しており、北東へ向かう尾根が一番目立つが、そちらではなく南東へ向かう。しかし、向かうべき尾根が分かりにくく、東南東側へ少し誘い込まれた。磁石を見ると方角が少しずれており、右手に「あれかな?」と思わせる尾根が見えて進路を修正した。
樹林の中を枯葉を踏みながら降りて行ったら左手から現れた作業道にぶつかったので、もっと上から作業道があったのだろう。うまく見つけられなかった。
尾根の末端では左右どちらにも降りられるようだ。左手に降りると箱根屋沢だが、靴の泥を落としたかったので水の無い箱根屋沢ではなく右手に降りたものの、こちらにも水は無かった。

 【今回のルート】

 6:05 箱根屋橋
13:35 稜線
15:30 箱根屋橋

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地獄棚・雨棚見物と、マスキ嵐沢・鬼石沢再訪

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鬼石沢へ行ったことのある方はご存じと思うが、一軒屋避難小屋から入渓すると最初の滝がF2となっている。F1は?と言うと、避難小屋よりも下流に雨棚という大きな滝となって落ちており、これがF1(写真右)である。鬼石沢へ行くたびに「そのうち雨棚を見に行こう」と思うのだが、思うだけでサッパリ実現しない。色々と行きたい場所がある時はなかなか「見物」のためだけに時間を割くのは難しいものである。ならば、リハビリ期間中の今が最適なのではないか?そう思って見物に出かけた。しかし、根が貧乏性なので見物だけってのはどうももったいない気がして、見物ついでに、以前行った沢を久しぶりに訪れてみることにした。

【滝見物】

雨棚を見に行くには、堰堤の上で大滝沢とマスキ嵐沢が合流しているあたりへ登山道からはずれて降りる。今日はこの堰堤の場所を2つほど下の堰堤と間違って降りてしまって、20分以上ムダにしてしまった。全く恥ずかしい。降りる場所は全然難しくなくて、2つの沢が合流しているのを登山道から確認できたら降りれば良い。しっかり踏み跡がついていて問題無く沢に下りられる。
沢を進むと堰堤が現れるが、ロープのついている左岸側から越えられる。
雨棚へ向かう途中、沖箱根沢と地獄棚沢の大滝も見物する予定だったのに、先の方を眺めて歩いていたら沖箱根沢の出合を過ぎてしまった。朝から失敗ばかりである。
樹林に覆われた沢を進んで行くと、正面前方に突如として大きな滝が現れる。これが地獄棚である。語彙貧困で、「すごい」としか形容できない。これは一見の価値あり、是非見物をオススメしたい。

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沢はここで右にほぼ直角に折れていて、雨棚はこの先にあるのでそちらへ進む。途中、5mほどの滝(写真右下)があり、右側から容易に登れる。この滝を超えるとすぐに雨棚が現れる。

(左下の写真は地獄棚基部から右手を見たところ。鬼石沢出合と呼ぶべきか)

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雨棚は筋状に落ちているので地獄棚よりは見栄えはしないかもしれないが、高さはたいしたものである。想像していたよりは寝ているように感じたが、登れる気はしない。

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5mの滝は降りるのもたぶん難しくないと思うが、「ロープを出した方が良い」と書かれた記録を見たこともあり、今日は初めてだし右手首は痛いしリハビリ中だし、ということでロープで確保しつつおりた。左岸側にロープで作られた懸垂支点があるが、全体重を預けるにはちょっと頼りなさそうに見える。

帰りは沖箱根沢の出合を見逃さないよう気をつけて歩き、出合からすぐの所にある20m滝を見物した。きれいな滝だと思うが、地獄棚・雨棚を見た直後では迫力に欠ける。3つの滝を同日に見物する場合はまず最初に沖箱根沢のF1を見るべきであろう。

箱根屋沢の出合に沢ガニがいた。丹沢で沢ガニを見るのはとても久しぶりだ。
ここまでですでにかなりの満足感である。

【マスキ沢】
マスキ嵐沢の入渓点まではすぐなので、「まあ折角だから」と思って寄ってみることにした。この沢に来るのは何年ぶりだろうか。途中のいくつかの滝と最後の涸棚以外の記憶が無い。出合では10名ほどのパーティが入渓準備をしていた。こちらはすでに沢装備となっているので挨拶をして横を通り過ぎる。

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久しぶりに歩いてみると、ナメ床が多く、容易に登れる小滝がいくつもあり、心が癒やされる沢であると感じた。今年になってから行った北丹沢の沢の岩はかなりヌメっていたので、ニシタンはどうだろうか?と少し気になっていたのだが、どの岩もおおむねフリクションは良く効いて、マスキ嵐沢の一番大きな滝(写真右)も問題無く登れた。

 

左下の写真はマスキ嵐沢にある有名な石。右下の写真は大滝の途中から撮影したものだが、明暗の差が大きくて分かりにくいものになってしまった。

 

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大滝を越えたあとも容易に登れる小滝が続いて現れるので楽しめる。水温も水と戯れるにはちょうど良い感じである。ナメと小滝を楽しんでいると徐々に水量が減ってきて、標高880mあたりで顕著な二俣となる。ケルンが積まれている右俣が本流である。

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去年、下棚沢を登った帰りに間違って踏み込みそうになった「鬼石沢左岸尾根」というのが気になっていたので、今回は本流ではなく左俣へ進み、適当な所からこの尾根に上がることにしていた。涸棚は右俣へ進んだ後で出現するので、残念ながら今日は涸棚で遊べない。

左俣へ進んだあと、地形図上で狙っていた場所に出られはしたのだが、詰めの斜面が悪くて少し苦戦した。この尾根に上がれそうな沢形が他にいくつもあったので、もっと容易に上がれる場所がありそうな気がする。

【鬼石沢左岸尾根】
今日は標高960mあたりから下側を歩いたことになる。とても歩き易い尾根だったので、「これはオススメだな」と思いながら下っていたのだが、尾根末端が近づいたあたりでしっかりした踏み跡を見失い、登山道に出るまでの傾斜が急でここも少し苦戦してしまった。たぶん、容易に下りられる経路があるのだと思う。

右下の写真は避難小屋そばの橋が見えたところ。立木伝いに降りられるが、もう少し傾斜がゆるいと有り難い。

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【鬼石沢】
尾根を降りた場所は避難小屋下にある渡渉用の橋のところだったので、そのまま鬼石沢を歩き始める。
すぐにF2が現れる。3日前の水曜日に結構な雨(丹沢湖アメダスで96ミリ)が降ったので、実はもっと水量が多いと思っていたのだが、それまでが極端に少なかったらしいので大地にかなり吸い取られてしまったのか。

(写真左:F2、写真右:F3)

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それはともかく、岩がヌメってさえいなければF2,F3ともに登るのは容易である。F3を過ぎるとすぐに水が消えてしまってつまらないゴーロ歩きとなった。「もっと面白い沢だったはずだが・・・」と思いながら進むと再び水が復活し、記憶にあったきれいな沢歩きとなった。

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そして鬼石出現(写真左下)。水量が多いときは鬼石と左壁の間を水がジャージャーと流れているのだが、今日は全く水が流れていない。初めて来たとき、鬼石の穴(写真右下)をくぐって抜けようとしたのだがどうにも窮屈で抜けられず諦め、過去全て右側から巻いていた。今日覗いて見るとそんなに窮屈でも無さそうに思えたので穴の中を進んでみたが、やはり抜けられるとは思えず、結局右から巻いてしまった。ちょっとだけ悔しい。

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今日はこのまま沢を詰めずに、適当な所から尾根に上がる予定である。地形図を見ると、鬼石のあたりでは右岸尾根に登れそうに見えるのだが、実際は切り立った崖や急斜面となっている。ご存じの方も多いと思うが、実は国土地理院の地形図には間違いが結構あるらしい。先日行った神ノ川水系・金山谷の出合も地形図ではゆるやかな斜面となっているが実際は崖である。で、15年9月に「間違ってるよ」と国土地理院に伝えたら「速やかに当該箇所のデータの修正作業を実施し、更新データが整い次第、地理院地図等で公開させていただきます」という返事が15年10月に来たのだが、2年近く経過してもまだ更新はされていない。
それはともかく、斜面を眺めながら沢を進むと登れそうに見える傾斜となってきたので(写真左下)、そこから尾根に上がることにした。適当なところから登り始めたらすぐに作業道が現れ(写真右下)、それがずーっと上まで続いていた。結局この作業道は登山道まで続いていたので、グズグズの斜面やヤブこぎで苦労せずに済んだ。鬼石沢のエスケープルートとして使えると思う。

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この作業道を歩いているとき、登山道まであと15分くらいのあたりで熊を見た。ニシタンで熊を見たという話・記録は時々見聞きすることがあったが、実際に見たのは今日が初めてである。斜面の下の方から動物が走るような音が聞こえてきたのでそちらに目をやると、熊さんが軽快に斜面を下って行った。見えていたのは数秒で、残念ながらカメラを出す暇もなかった。

最初の予定では屏風岩山経由での下山を考えていたのだが、予定よりも時間がかかってしまったし、なによりもすでにお腹一杯になっていたので、平凡に大滝峠上から東海自然歩道経由で下山した。

【今回のルート】

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北丹沢・彦右エ門谷から檜洞丸

先週は標高1300mあたりまでしか届かず悔しかったので、再び檜洞丸を目指すことにする。 北丹沢にはまだ行ったことが無いという友人のKちゃんを誘ってみたら、沢じゃなくて長い距離を歩きたいというので、彼は縦走、自分は沢登り、ということになった。
今日の行き先は、先週行った金山谷から源蔵尾根を隔てたところにある彦右エ門谷、広河原の上流側に広がる、堰堤だらけの沢である。 Kちゃんは東海自然歩道から入って姫次・蛭ヶ岳・檜洞丸と周回する予定で、運が良ければ檜洞丸で会えるかもね、ということで、東海自然歩道の分岐で別れた。

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彦右エ門谷に入る前にちょっと寄り道をした。檜洞丸北尾根を隔てたところにある桧皮沢(ひわたさわ)見物である。この沢の見所は最初に現れるゴルジュらしいので、林道から見物だけでもしておこうと以前から思っていたのであった。今日は忘れずに思い出したので、広河原手前で大きく曲がっている林道をしばらく登り、桧皮沢を見物した。林道に架かる橋のすぐ目の前に大滝があり、その奥にゴルジュが続いている。パッと見た感じ、全然登れそうに見えない。ならば巻くことになるわけだが、ゴルジュ両岸ともに険しい斜面となっており、巻くのも大変と先達がおっしゃる理由がよく分かった。なるほど、と納得して広河原へ戻る。

林道の屈曲点からはわずか6、7分歩いたくらいなのだが、意外と標高を稼いでいたらしく、広河原のあたりを良く見おろすことができる(写真左下)。屈曲点から沢の方へは踏み跡がついており、彦右エ門谷の左岸沿いに歩くことができるのだが、覆いかぶさるように植物が繁茂しており歩きにくい。3つ目(?)の堰堤に沿って対岸へ渡ると源蔵尾根への取り付きとなる。左岸沿いに斜面を登ると檜洞丸の北尾根への取り付きへと続く。堰堤はどれも右側から越えられるらしいので、木積の堰堤の手前で沢床に降りて歩き始めたら、どうもこの堰堤は巻道から行かないとダメらしい(写真右下)。

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そこで、ガレた沢地形を巻いて行ったらすごい高巻きになってしまっており、あれこれ考えたが懸垂で降りるのが一番速くて安全だろうと思い、しぶしぶ懸垂で沢床まで降りた(写真左下のあたりで懸垂)。それ以降の堰堤は全て右側から越えた。

右下の写真は下流を振り返ったところ。堰堤が多くて飽きる。

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リハビリ&トレーニングなので面白さは特に求めてはいなかったが、予想していたよりは水もあり、小さな滝もあってそれなりに楽しめた。ただ、前半に現れた滝はどれもヌメっており、また水が案外冷たいので今日のような暑い日でもシャワーは辛い。シャワーどころか、水流に手を10秒くらい入れてるだけでも結構辛い。後半に現れた涸棚はたいてい脆くて見た目よりも登るのが困難だった。

下の2つの滝はどちらも水流直登のつもりだったが諦め。左の滝は水流左側、壁沿いに登り、右の滝は水流右側の乾いたカンテ状を登った。

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水が涸れてからは下の写真のようなガレ沢を行く。歩きにくいが特に問題はない。

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左下の写真、大きな石が行く手を遮っている。高さはないが、意外と厄介。 最初、右2つの岩の間を行ったがホールドが無くて諦めた。次に左に行き、左壁と真ん中の岩を使ったステミングで(左の岩をまたぐように)登った。右下の写真の二俣は右へ。

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上部に行くにつれ、だんだん岩が脆くなってきた。簡単に登れそうに見える岩も手を掛け、足を乗せるとすぐに剥落する(写真右下)ので厄介である。

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できるだけ沢地形を忠実にたどって山頂に近づくつもりだったが、1400mを超えたあたりで右手に見える樹林帯に逃げてしまった。足元がグズグズしてきたとは言ってももうしばらくは歩けるし、北尾根の樹林がもっと高くに見えていれば沢筋を詰めていたと思うのだが、右手の樹林がすぐ目の前、10秒ほど歩けば届くところまで近づいていたので、樹林の誘惑に負けてしまった。

北尾根の樹林帯に入って休憩していたらKちゃんからメールが届いた。蛭ヶ岳を出て30分ほど経過したところらしい。これならば、先に山頂に着いた方が30分も待てば合流できるだろう。

樹林帯を適当に登っていくと見覚えのある北尾根の踏み跡に出た。ゆっくり山頂へ向かい、バイケイソウの群落を抜けると山頂である。腰を下ろす場所を探そうと思ったら、目の前にKちゃんがいてビックリ!彼もちょうど山頂に着いたばかりだそうで、なんともすごい偶然である。
テーブルに腰掛けてのんびり休憩を取り、ヤタ尾根から下山した。

 【今回のルート】

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